暗闇の羊は原付に跨り脳から股へ駆け下りる

kb10uy
Author:
kb10uy @kb10uy
メニュー

リマインダーというあだ名以外全部実話です

作品をシリーズに追加すると、シリーズのページからもこの作品にアクセスできるようになるほか、 登録されているシリーズが作品ページにも表示されます。


ブゥーーン、ブロロロロ………ブン、ブォーーーン……

夏稀「あー……」

暗闇に響く原付のエンジン音。それは私にとって、夜ふかしの越えてはいけないラインを越えてしまったことを意味する。

現在時刻、午前3時。
よりにもよって月曜日。

昔から突然思い出すことが得意だった私は、そのタイミングの良さからリマインダーというあだ名がつけられた。……のをたった今思い出した。いま思えばひどいあだ名だが、それだけ友達を物忘れの窮地から救ってきたのだと思えば悪い気はしなかった。

リマインダーに false negative があっては話にならないのは誰でも納得できるだろう。私が今困っているのはその逆、 false positive が多すぎることである。別の言い方をすれば、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる戦略だ。

今日は一段とひどいものだ。なんとなく寝付けないので羊を数えていたら、 sheep は単複同形であることを思い出し、声を出して納得してしまった。それぐらいならまだたまにあるレベルなのでまた数え続けたら、今度は羊の数を素因数分解し始めてしまった。完全に目が目が覚めてしまったので、ざっくりとタイムラインを眺めていた。ノーマルマッピングという単語を目にして、なぜ接線は tangent なのかについて考え始めそうになってしまった。

もうどうにもならないな……。そう思い、私はオカズを探すことにした。どうせ眠れないならオナニーでもしたほうがいい。そう思った矢先、新着怪文書情報が目に飛び込んできた。渡りに舟だ。しかも私のお気に入りのライター。これはもうするしかないな!

オナニーに際して、私は自分の胸が小さいことを別に悩んだりとかはしていない。していないけど、もうちょっと大きかったら揉むのは楽しかっただろうなあ、とはたまに思ったりする。

夏稀「あぁ〜……いいなぁ……」 作中の女の子は、とても気持ち良さそうに描写されている。そう、気持ち良さそうに……

……あれ?
私は今まで、オナニーを気持ちいいと思ったことはあったっけ?

夏稀「どうだったっけ……」

物心ついたころには、私はもうオナニーを覚えていた。初めてがどんな風だったかはあまりよく覚えていないけど。それからというもの私はほとんど毎日欠かさずオナニーしていた。病欠の日だって。1限の朝だって。修学旅行のホテルですら。

夏稀「っ…はぁ……っ、ん!んぅ……ふ、う、ぁ……」

なぜオナニーがやめられないのかという問いに対して、気持ち良いからだと答えるのは簡単。なのに、私は今まで一度もオナニーを気持ち良いと思ったことはない。そもそも性的快感を得ているのかすらわからない。そんなことを考えていると、急に自分のオナニーが怖くなってきた。

夏稀「あぁ〜この描写はエッチすぎるよ〜」

今、私がしているのは何?

夏稀「いやオナニーだが……」

そうだ。オナニーだ。マスタベーションだ。セルフプレジャーだ。
それ以外の何者でもない。

夏稀「あ、イキそう……これイッってるのかな?」

そんなことを考えながらも、私はその怪文書を読み進める。物語はまさに佳境に入ろうとしている。

夏稀「ゃ、あぁぁ……やっぱここだ……」

何が?
何が私のGスポットなんだ?

夏稀「何がだろう……」

外延的には、これは気持ち良いかもしれない。こういうのを気持ち良いっていうのかな。作中の子が感じているそれとは別のものかもしれないけど。

夏稀「あーこれはもう完全に濡れてるでしょう」

……あ。終わっちゃったよ。
私終わってないのに。これからなのに。

夏稀「これまだイけない……」

このオナニーはいつか終わってしまう。
そして、私は終わらせなければならない。
でも終わってほしくはない。

終わったら、また新しいオナニーが始まる。
The following masturbation is guaranteed.
でもやっぱりオナニーしていない時間はもったいないし、性欲のリチャージはそう簡単ではない。
ずっとこの時間が続けばいいのになあ。

夏稀「そんなこと言ってる場合じゃないでしょうが」

そうだよ!!!
私寝なきゃいけないんだよ!!!
こんなことしてるけど明日1限あるのに!!!

夏稀「やだなあ……」

いつも思うけどイきたいのにイけないのは本当にもどかしい。それは自分がもう十分堪能したからというより、さっさと次のオナニーに向けて準備しなきゃいけないのに、という気持ちのほうが強い。

夏稀「やっぱり文体が信用できるな〜この人」

レビューの文言を時折ぼやきながら、 何度も怪文書を読み返す。そんな中でも、両手指は休むことなく、私の一般的には隠すべきとされている場所(これは私が隠していないというわけじゃないよ)を刺激しつづける。

夏稀「あだだだだだっ!」

痛った!脚が攣りそうになった。だから足ピンはやめようって自分に言い聞かせているのに、いざするとそんなことは考えられなくなる。

夏稀「考えられなくなる、ねえ……」

他のことが何も考えられなくなるというのはオナニーの共通の特徴らしい。まあそうだろうなあ。

夏稀「あーーーー」

自分の喘ぎが段々適当になってきたのを突然認識して、ちょっとだけ笑いそうになってしまった。
経験上これは良くない傾向。だってオナニーも適当になるから余計イけなくなるし。

夏稀「寝るためにオナニーするのホントなんなんだろ」

でもしなきゃいけない。終わらせなきゃいけないんだ。
もう30分以上たってるんだからさあ。

夏稀「んぅ……っ、ふぁ、ヤっ」 夏稀「くぁ、あ、ここっ!」 夏稀「このままイく!」 夏稀「あ〜〜!!!イクイクイクイクッ…………!!」

はぁ。

やっとイけた。効率悪いなー私。過去最悪効率更新しちゃったかもしれない。

夏稀「いい怪文書だった、これはまた使える」


夏稀「って思ってたけどこれ結局眠くならないしなんも解決してないじゃん……」 いやどうすんねんマジで。もう4時だよ。3時間睡眠だよ。誰か私を助けてくれ。